シャープペンといえば、100円ショップでも買える文房具の代表格です。それなのに今、大人たちが7,000円を超えるシャープペンに列をなしています。「文房具総選挙2026」ではまさかのトップ3をシャープペンが独占。しかもトレンド部門として「プレミアムシャーペン」という新カテゴリまで誕生しました。何が起きているのか、掘り下げてみます。

文房具総選挙2026、トップ3をシャーペンが独占

GetNavi・GetNavi web主催「文房具総選挙2026」(投票期間:2026年3月24日〜4月26日)は今年で14回目。71点がノミネートされたこのアワードで、開票の結果、なんとトップ3を「シャープペン」が独占するという珍しい事態になりました。うち2つは、今年新設された「プレミアムシャーペン部門」からの選出です。

🏆 文房具総選挙2026 トップ3
1
シンドバット(大賞)
サンスター文具
最大40本の芯が一度に入る人気シャーペンのリニューアル版。2011年に販売終了していたが、約20年ぶりに復活した「伝説の筆記具」。

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2
AIMVISION PRO(準大賞)
カーユプラス
真鍮削り出しの一体構造。2025年誕生の新メーカーが放った市場参入第一弾。
7,920円(税込)
3
LAMY safari KURUTOGA inside(3位・プレミアムシャーペン部門1位)
三菱鉛筆
ドイツの名門「LAMY safari」デザイン×クルトガエンジンのコラボモデル。
4,180円(税込)

大賞のシンドバットは少し毛色が違う「はかどり」重視の実用モデルですが、2位・3位はどちらも「プレミアムシャーペン部門」からの選出。しかもこの部門、今年初めて新設されたトレンド部門です。運営いわく、「2025年に新たに誕生したメーカーが、第一弾商品として7,000円台のシャープペンで市場に参入したり、人気筆記具ブランドがコラボしたりと、新旧の叡智が融合しながら層の厚いジャンルへと急成長した」ため、新設に至ったとのことです。

そもそも「プレミアムシャーペン」って何なのか

数百円で買えるシャープペンが当たり前だった市場に、なぜ7,000円台の商品が続々と生まれているのか。象徴的な2本を詳しく見てみましょう。

🖊️
CASE 01 / 新興メーカーの本気

AIMVISION PRO(エイムビジョン プロ)

カーユプラス(2025年設立の新ブランド)
7,920円(税込)

2025年に誕生したばかりの新興文房具メーカー「カーユプラス」が、市場参入の第一弾として世に出したのがこのモデルです。真鍮を削り出した一体構造のボディを採用し、筆記時のブレやペン先の曲がりを抑制。手に当たりにくいよう短く仕上げられたクリップ、ローレット加工とラバーを組み合わせたグリップなど、細部にわたって「安定した書き心地」を追求しています。

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新規参入のメーカーが、いきなり高価格帯で勝負を仕掛けたという点が象徴的です。「安さで勝負する」という従来の新規参入の定石を外し、「所有する満足感」で真っ向勝負を挑んだ格好です。投票者からは「替え芯を持ち歩くわずらわしさがなく、紛失の心配もないシャーペン革命」といった声も寄せられ、準大賞という高評価を獲得しました。

🇩🇪
CASE 02 / 老舗同士のまさかのコラボ

LAMY safari KURUTOGA inside

三菱鉛筆 × LAMY(ドイツ)
4,180円(税込)

ドイツの人気筆記具ブランド「LAMY safari」の洗練されたボディに、三菱鉛筆の「クルトガエンジン」を搭載した夢のコラボモデルです。クルトガエンジンは、書くたびに内部の芯が少しずつ回転する機構で、芯の片減りによる「文字が太くなる」「芯が折れやすくなる」という問題を防ぎます。ペン先のブレも最小限に抑えられ、細くくっきりした文字を書き続けられるのが特長です。

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ボディカラーは4色展開で、なかでも透明軸の「ビスタ」はクルトガエンジンの駆動する様子が見えるという、メカ好きにはたまらない仕様。発売発表と同時にSNSで話題となり、プレミアムシャーペン部門で堂々の1位を獲得しました。「文房具好き垂涎のコラボ」という評価どおり、デザインの実績あるブランドと機能の実績あるメーカーが手を組むと何が生まれるかを証明した一本です。

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なぜ、今このタイミングで高級シャーペンなのか

数百円のシャープペンでも、書くという行為自体は十分にできます。それでも大人たちが7,000円台のシャープペンに手を伸ばす理由は何なのか。ここにはいくつかの要因が重なっていると考えられます。

💭 プレミアムシャーペンが「刺さる」理由
  • 🎓リスキリングブームで「大人が本気で勉強する」機会が増え、道具にもこだわりたくなった
  • 💼デスクワークで「毎日触れる道具」への投資は、実は費用対効果が高いと気づく大人が増えた
  • SNSでの「文具映え」需要。真鍮ボディや透明軸は写真映えする
  • 🧠機構オタク気質の大人にとって、クルトガエンジンが「見える」ビスタモデルはたまらない
  • 🎁「自分へのご褒美」需要。頑張った自分に、ちゃんとした道具を買ってあげたい気持ち
100円のシャープペンでも、字は書ける。
でも7,920円のシャープペンは、
「書きたくなる」道具になる。

これは万年筆や高級ボールペンの世界で以前から起きていたことが、シャープペンという「学生の道具」というイメージが強かったジャンルにも波及した、と見ることもできます。文具ソムリエール・菅未里さんは大賞のシンドバット復活について「シャーペンが揃う珍しい結果ですが、それぞれ特徴のあるラインナップでシャーペン市場の成熟を感じました」とコメントしています。まさに「成熟」という言葉がぴったりです。

2本を比べてみると

比較項目 AIMVISION PRO LAMY safari KURUTOGA inside
価格 7,920円(税込) 4,180円(税込)
メーカー カーユプラス(新興・2025年設立) 三菱鉛筆 × LAMY(老舗コラボ)
素材・構造 真鍮削り出し一体構造 樹脂ボディ+クルトガエンジン内蔵
最大の魅力 安定した書き心地・所有感 ドイツデザイン×日本の機構技術
刺さるタイプ 質感・重厚感重視の大人 デザイン×機能の両立を求める人
Editor's Note

個人的に面白いと思うのは、大賞を取ったのが「7,000円台の高級モデル」ではなく、「40本の芯が一度に入る、実用重視の復活モデル」だったという点です。プレミアムシャーペン部門は新設されて盛り上がりを見せつつも、投票者全体の心を掴んだのは結局「はかどる」というシンプルな実用価値でした。

高級路線と実用路線、どちらもシャープペンというジャンルの中で同時に評価されている。この振れ幅の大きさこそ、菅未里さんの言う「市場の成熟」なのだと思います。


プレミアムシャーペンというジャンルは、今年生まれたばかりです。新興メーカーの参入、老舗同士のコラボ、そして「復活」という物語まで、たった一つのカテゴリの中にこれだけの多様性が生まれているのは、文具好きとして単純にワクワクします。100円のシャープペンで十分という考え方も間違いなく正しいけれど、7,920円払ってでも欲しくなる理由が、確かにここにはあります。

📌 まとめ

文房具総選挙2026でトップ3をシャープペンが独占。新設された「プレミアムシャーペン部門」からは、新興メーカー・カーユプラスの「AIMVISION PRO」(7,920円)と、三菱鉛筆×LAMYの「LAMY safari KURUTOGA inside」(4,180円)がランクイン。大賞は約20年ぶりに復活したサンスター文具の「シンドバット」でした。

数百円が当たり前だったシャープペン市場に、明確に「高級路線」が確立されつつあります。毎日触れる道具だからこそ、こだわる価値がある──そう思わせてくれる新ジャンルの誕生です。