以前、マルチライナープラスの記事で「使い捨てからの卒業」というトレンドについて書きました。よく考えたら、あれはミリペンだけの話じゃないんですよね。ボールペンも、消しゴムも、のりも、実はもうかなり前から「詰め替えられる」進化を静かに続けています。今回は身の回りの詰め替え対応文具を、カテゴリ別に集めてみました。
「詰め替え文化」、実はもう定着していた
トンボ鉛筆の環境情報によると、同社の修正テープ・テープのり製品のうち52%が、カートリッジ交換可能な詰め替え式製品だといいます。半分以上、というのは正直驚きの数字です。文具業界は静かに、でも着実に「使い切ったら捨てる」から「消耗品だけ交換する」への切り替えを進めていました。
📊 詰め替え文具の実態
52%
トンボ鉛筆の修正テープ・テープのり製品のうち、詰め替え式の割合
1963〜
詰め替え式ペン先の思想は、実は古くからある発想
私たちが「新しい文具のトレンド」だと思っていたものは、実は文具メーカーが何十年もかけて積み上げてきた設計思想の延長線上にあります。ボールペンの替芯文化はもう当たり前すぎて意識すらしませんが、これも立派な「詰め替え文具」の元祖です。
サステナブルという言葉を使わなくても、
文具は、ずっと「長く使う」を
考え続けてきた。
カテゴリ別・詰め替えられる文具たち
🌊 海洋プラ再生 🔄 替芯対応
「クセになる、なめらかな書き味」でおなじみのジェットストリームに、日本国内で回収された海洋プラスチックごみと、使い捨てコンタクトレンズの空ケースをリサイクルした「ポストコンシューマープラスチック」を軸材に採用したモデルがあります。文具業界で初めてエコマーク認定(商品類型No.164「海洋プラスチックごみを再生利用した製品」)を取得した記念すべき一本です。「変わっていく海の情景」をイメージしたワントーンカラーが採用され、マットな風合いで日常使いにも自然に馴染みます。もちろん替芯にも対応しているので、書き味そのものはそのままに、長く使い続けられます。
BUNGU的ポイント「持った瞬間に環境配慮を感じさせる」というより、普通に良いボールペンとして使えるのに実は海洋プラごみからできている、というギャップが素敵です。
🔄 消しゴム詰め替え ⭐ 定番人気
MONO消しゴムでおなじみのトンボ鉛筆が展開する「モノグラフ」シリーズは、シャープペンの頭部に本格的なMONO消しゴムを搭載していることで有名です。「筆箱を持ち歩けないけど、シャーペンと消しゴムを両方ちゃんと使いたい」という声に応えた設計で、この消しゴム部分がちゃんと専用の替え消しゴムで交換可能になっています。消しゴムが自然に抜け落ちてきたら交換のサイン。新しい替え消しゴムを差し込んで、消しゴムユニットを反時計回りに回すだけで補充が完了します。上位モデルの「モノグラフチューン」「モノグラフファイン」でも同じ思想が引き継がれています。
BUNGU的ポイントシャープペンの頭についている小さな消しゴムを最後まで使い切って、本体ごと処分していた時代を思うと、これは地味に大きな進化です。
🔄 インク+ニブ交換 🆕 2026年7月発売
以前Bungu Postでも特集した、待望の新製品です。従来は使い切りタイプだったコピックのドローイングペン「マルチライナー」に、インクカートリッジとペン先(ニブ)の両方が交換できる新モデルが登場します。9色のカラー展開と3種の線幅を揃え、コピックマーカーで着彩してもにじみにくい耐水性・耐アルコール性のインクはそのまま。「育てる道具」として長く付き合える設計に生まれ変わりました。
BUNGU的ポイントイラスト・漫画を描く人にとって、インクが切れるたびにペンごと捨てていた罪悪感からついに解放される瞬間です。
🔄 カートリッジ交換 ⭐ 業界標準化
意外と知られていませんが、テープのり・修正テープの分野は詰め替え対応がかなり進んでいるジャンルです。トンボ鉛筆の公式発表によると、同社のテープのり・修正テープ製品の52%がカートリッジ交換式。本体のケースはそのまま使い、中身のテープカートリッジだけを交換するという仕組みで、プラスチックごみの削減に直結しています。オフィスや学校で大量に消費されるジャンルだからこそ、この詰め替え対応は積み上がると相当なインパクトがあります。
BUNGU的ポイントお気に入りの本体デザインを気に入っている人にとって、中身だけ交換できるのは単純に嬉しいポイントでもあります。
🔄 カートリッジ交換 ♻️ リサイクル連携
パイロットのホワイトボード用マーカー「ボードマスター」は、カートリッジ交換式であることに加え、使用済みカートリッジの回収プログラムまで用意されています。使い切ったカートリッジを本体から取り外し、インクの残りやシールがついたままでも回収ボックスに入れるだけ。集まった空カートリッジは回収され、学校関係者には回収樹脂をアップサイクルした定規が進呈されるなど、資源が循環する仕組みが作られています。個人の詰め替えだけでなく、企業・学校単位での回収プログラムまで用意されているのが特徴的です。
BUNGU的ポイント「詰め替えて終わり」ではなく、使い終わった後のカートリッジまで責任を持って回収する仕組みがあるのは、文具メーカーの本気度を感じます。
詰め替え文具、選んでみて
| カテゴリ |
商品 |
詰め替え対象 |
| ボールペン |
ジェットストリーム 海洋プラスチック |
替芯 |
| シャープペン |
モノグラフシリーズ |
替え消しゴム+替芯 |
| ミリペン |
コピック マルチライナープラス |
インクカートリッジ+ニブ |
| のり・修正テープ |
各社カートリッジ式製品 |
テープカートリッジ |
| マーカー |
ボードマスター |
インクカートリッジ(回収連携) |
Editor's Note
5カテゴリを並べてみて感じたのは、「詰め替え=我慢して選ぶもの」ではなく、「詰め替え=普通に良い文具」という状態にすでになっているということです。ジェットストリームもモノグラフも、環境配慮を抜きにしても普通に人気の高い定番文具。サステナブルという文脈を意識せずに選んだ文具が、実はちゃんと詰め替え対応だった、ということもよくあります。
「エコだから買う」より「良いから使い続けていたら、実はエコだった」というのが、一番自然な形なのかもしれません。
使い捨てから詰め替えへ、という流れは今後も他のジャンルに広がっていくはずです。マルチライナープラスのようにまだ発売されていない新製品もあれば、モノグラフのようにすでに何年も定着している定番もある。「詰め替えられる」という軸で自分のペンケースを見直してみると、意外な発見があるかもしれません。