突然なんですが、たまにありませんか。特に書くことなんて何もないのに、無性に手を動かして何か書きたくなる日。今日がまさにその日でした。

用事があって書くわけじゃないんです。むしろ逆で、何も書くことがないのに、とにかく紙とペンが恋しくなる。そういう日、たまに来るんですよね。デスクの引き出しを開けて、ノートを一冊出してきて、お気に入りのボールペンを手に取る。でも書く内容は何も決まっていない。とりあえず日付だけ書いてみる。それだけで満足してしまう日もあります。

この衝動、正体がよくわからないんです。ストレス発散でもないし、何かを記録したいわけでもない。ただ「手を動かしたい」という、動物的な欲求に近い気がします。犬が意味もなく穴を掘りたくなる感じに似ているかもしれません(偏見です)。

✎ こういう日に、結局書いているもの
  • 今日の日付。ただの日付。用途不明。
  • 「あ」から「ん」まで、ひらがなの練習みたいなやつ
  • なぜか漢字の「憂鬱」だけ書けるか試す(大体書ける自分に満足する)
  • 四角、丸、螺旋。図形をひたすら重ねて塗りつぶす
  • 好きなバンド名、好きな言葉を、意味もなく並べて書く
  • 「TEST TEST TEST」(インクの出を確かめるふりして永遠に書く)

特に「インクの出を確かめるふり」は自分でもよくわかっていて、本当は確かめる必要なんてないのに、そういう名目で無限にペンを走らせてしまう。試し書き用紙が、いつの間にか意味のない文字でびっしり埋まっている。あれ、誰が見ても「この人、大丈夫か」って思うやつですよね。大丈夫です、ただ書きたかっただけです。

この衝動が来るタイミングにも、ふんわりとした法則があります。締め切り前で現実逃避したいとき、電車を待っているとき、なんとなく手持ち無沙汰なとき、あと理由もなく無性に、というパターン。特に最後の「理由もなく無性に」が一番多い気がします。理由がないのが理由みたいな。

別に何かを残したいわけじゃない。
ただ、ペン先が紙に触れる感触が、
今、欲しかっただけなんだと思う。

思うに、これは「書く」という行為の中の、一番原始的な部分だけを求めている状態なんじゃないかと思います。伝える相手もいない、残す目的もない、ただ「書く」という動作そのものが気持ちいい。文章を書くとか、記録を残すとか、そういう「書くことの目的」を全部取り払った、純粋な筆記欲求です。

こういう衝動があるとき、実はペン選びにもちょっとしたこだわりが出ます。なめらかに書けるボールペン、あるいはあえて抵抗感のある鉛筆。どちらでもいいはずなのに、なぜかその日の気分で「これじゃなきゃダメ」というペンが決まっている。目的もないのに、道具にはこだわる。文具好きの性みたいなものです。

そしてひとしきり書いたあと、そのページを見返して「特に意味はないな」と冷静になる瞬間があります。日付と、意味不明な図形と、「憂鬱」の漢字と、TESTの文字列。これを人に見せる予定は一生ないし、見せても「何これ」としか言われないやつです。でも、書いている間は確実に満たされていた。それでいい気がしています。

今日もまさにその衝動に襲われて、この文章を書いています。正確には、この文章を書く前に、まず関係ないメモ用紙に「あ」から「ん」まで書いてから始めました。誰に頼まれたわけでもないのに。

この感覚、わかってもらえる人がいたら嬉しいです。わからなくても、それはそれで健全だと思います。

📌 この衝動について

特に理由もないのに書きたくなる日は、たぶん誰にでもあります。ペンを持って、紙に触れて、それだけで満たされる瞬間があるなら、それはきっと文具が好きだということの、一番シンプルな証拠なんだと思います。

意味のない文字で埋まった試し書き用紙、今日も静かに増えました。