万年筆だからといって、毎回ちょっといいノートを開く必要はない。

今日やることを書く。
宅配便の受け取り時間をメモする。
電話しながら数字を書く。
買い物リストを作る。

そんなことに万年筆を使ったっていい。いや、むしろ私はそういう使い方が好きだ。

そこで出てくるのが、プラチナ万年筆の「プレピー」である。

見た目はカラフルで、透明で、ものすごく気軽。価格もかなり身近だ。でもキャップを外すと、ちゃんとステンレス製の万年筆のペン先が出てくる。

インクもカートリッジ式。ボールペンのように見えて、ボールペンではない。高級万年筆の廉価版という感じとも少し違う。

私はプレピーを見るたびに、「カジュアル万年筆って、こういうことでいいんだよな」と思う。

万年筆売り場の空気を、一気に軽くした一本

万年筆には、どうしても高級品のイメージがある。黒い軸。金色のペン先。立派な箱。ショーケース。

もちろん、そういう万年筆は素晴らしい。私も好きだ。でも、それだけが万年筆ではない。

プレピーは2007年に発売された低価格万年筆で、2024年4月には累計販売1,500万本を達成している。

1,500万本。ここまで数字が大きくなると、「安い万年筆が売れた」というだけでは説明しきれない。

たぶん多くの人にとって、「これなら万年筆を使ってみてもいいかも」と思わせる何かがあったのだと思う。プレピーには、その気軽さがある。

660円で万年筆を始められる

2026年8月現在、公式サイトに掲載されているプレピーの価格は税込660円。02(極細)、03(細)、05(中)のモデルが用意されている。

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この価格を見て、「本当に万年筆なの?」と思っても仕方がない。でも、本当に万年筆だ。

ペン先はステンレス。インクはカートリッジ。筆圧をそれほどかけなくても線が出る。紙の上をインクが走っていく感覚もちゃんとある。

もちろん数万円の金ペンと比べるものではない。ただ、プレピーを使っていて面白いのは、「安いからこれで我慢しよう」という気分にならないことだ。

むしろ、「今日これでいいな」と普通に選ぶ。そこが強い。

プレピーは「初心者用」より「普段用」と呼びたい

プレピーは、初めて万年筆を使う人にものすごく勧めやすい。失敗したときの心理的ダメージが小さい。扱いも難しくない。だから「入門用万年筆」という紹介になるのは分かる。

でも私は、もう少し違う言い方をしたい。

普段用万年筆。あるいは、カジュアル万年筆。

こっちのほうがプレピーには似合う。初めてだから使うのではない。万年筆を何本持っていても使える。

仕事机に一本。家の机に一本。手帳用に一本。赤インク用に一本。そんな扱いができる。

「一本を大事に育てる」という万年筆の楽しみとは、また違う。用途ごとにポンポン置いておける。この気楽さは、かなり特別だと思う。

13g。ほとんど気負わない軽さ

プレピーの本体はPC樹脂製で、全長138mm、標準重量13g。

軽い。実際、持ったときもかなり軽い。金属軸の万年筆を持ったときの、「おお、いいペンを持っている」という感覚とは真逆だ。

プレピーは、「はい、書きましょう」という感じである。私はこれが好きだ。

手帳に一行。ノートに数ページ。考えながら落書き。長めの文章。何に使っても重さが邪魔になりにくい。書くことそのものに集中しやすい。

高級感とは別のところで、道具としてかなり優秀なのだ。

透明軸が、プレピーにはよく似合う

プレピーといえば、透明感のあるカラフルなボディだ。公式も「カジュアルに色で遊ぶ」をテーマとして掲げ、透明カラーの軸とインク色の組み合わせを楽しめる万年筆として紹介している。

ここがいい。万年筆を渋く見せようとしていない。むしろポップだ。

インクが見える。内部のパーツが見える。透明な樹脂の中にカートリッジが一本入っている。それを隠そうとしない。

私はこういうスケルトン文具に弱い。機械の中身が見えている感じがして、つい眺めてしまう。

しかもプレピーの場合、透明軸は「高級感を出すためのデモンストレーター」ではない。ただ純粋に、インクの色が見えると楽しい。それでいいのだ。

クリスタルは、インク遊びを始めると欲しくなる

プレピーには無色透明の「クリスタル」もある。公式サイトでは現在、03(細)のモデルが掲載されている。

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これがまたいい。色付きのプレピーも楽しいのだけれど、完全に透明になると主役がインクになる。

青いインクを入れる。緑を入れる。赤を入れる。少し変わった色を入れる。すると、中身がそのまま見える。

私は透明軸の万年筆を見ると、なぜか普段使わないインクを入れたくなる。黒ではなく茶色。ブルーブラックではなく紫。普段なら少し迷う色も、プレピーなら試しやすい。

ここにもカジュアル万年筆の良さがある。

02、03、05。字幅を変えるだけでも遊べる

プレピーには02(極細)、03(細)、05(中)がある。02は極細モデル、03と05は細字・中字モデルとして公式ラインアップに掲載されている。

数字で呼ぶところも、なんだかプレピーらしい。

02なら、手帳に強い

細かく書くなら02。小さな手帳。スケジュール帳。余白への書き込み。漢字を小さく書く。こういう用途ではかなり便利だ。

「万年筆は線が太いから手帳では使いにくい」と思っている人にも試してみてほしい。

03は、いちばん普段使いしやすい

一本だけ選ぶなら、私は03を選びたくなる。細い。でも細すぎない。ノートにも使える。仕事のメモにも使える。日記にもいい。

プレピーらしい気軽な使い方と一番相性がいい気がする。

05は、インクの色を楽しみたい

中字の05になると、インクの存在感が少し増す。色がよく見える。濃淡も楽しみやすい。文章をゆったり書くのもいいし、タイトルや見出しを書くのもいい。

02を手帳用。03を普段用。05をインク遊び用。そういう分け方もできる。そして問題は、プレピーならこれを本当にやれてしまうことだ。

一本ではなく「何本か使う」が似合う

高級万年筆を三本買う。これは大きな決断だ。プレピーを三本使う。これは用途分けである。この差はかなり大きい。

黒インク用。ブルーブラック用。赤インク用。手帳用。自宅用。仕事用。

私はプレピーについては、「最高の一本を選ぶ」必要があまりないと思っている。むしろ何本か使うほうが楽しい。

今日はどれを使うか。というより、「ここにはこれを置いておこう」という感覚。

ペンそのものをコレクションするというより、生活のいろいろな場所に万年筆を配置していく。この感じがすごくいい。

プレピー最大の武器は、実はキャップだと思っている

安い。軽い。カラフル。それだけでも十分魅力的なのだが、プレピーで私がかなり重要だと思っているのがスリップシール機構だ。

プラチナ万年筆によると、キャップを閉めた状態なら1年間使わなくてもインクが乾きにくい構造を採用している。

これはプレピーの使われ方と、とても相性がいい。毎日必ず使う一本ではなくてもいいからだ。

赤インク専用にする。月に数回しか使わない色を入れる。サブの机に置く。しばらく使わない。久しぶりにキャップを外す。そして書く。

万年筆で面倒なのは、「久しぶりに使おうと思ったら書けない」という瞬間だったりする。プレピーは、そこをかなり真面目に考えている。

見た目はカジュアル。中身はかなり実用的。このギャップがいい。

「安いから雑に扱える」だけではない

プレピーを語るとき、「安いから気楽」という話になりがちだ。もちろん、それもある。

でも気楽さは値段だけではないと思う。軽い。キャップ式。インクが乾きにくい。透明だから残量が見える。カートリッジ交換も簡単。

この全部が重なっている。だから手が伸びる。

安いだけの筆記具なら、世の中にいくらでもある。でもプレピーは、安さの先にちゃんと使いやすさがある。だから残るのだと思う。

カートリッジ交換だけで十分楽しい

プレピーを気軽に使うなら、まずはカートリッジでいい。

プラチナ万年筆の水性染料インクにはブラック、ブルーブラック、レッド、ピンク、バイオレット、イエロー、グリーン、ライトブルー、ブラウンなどのカートリッジが用意されている。

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プレピーのボディカラーと合わせる。あえて違う色にする。透明軸でインクだけ見せる。これだけでも相当遊べる。

しかもインク交換が簡単だ。難しいことをしなくていい。使い切ったら抜く。新しいものを挿す。また書く。

カジュアル万年筆として考えるなら、私はこの使い方がかなり好きだ。

コンバーターが本体より高くても、それはそれで面白い

もっと遊びたくなったら、コンバーターという道もある。プラチナ万年筆には万年筆用のコンバーター700Aなどがあり、ボトルインクを吸入して使える。現在、コンバーター700Aの公式価格は税込880円。

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つまり、プレピー本体よりコンバーターのほうが高い。

なんだそれ。と思う。でも私は、この逆転現象がちょっと好きだ。

660円の万年筆にコンバーターを入れて、お気に入りのボトルインクを吸わせる。急に本格的なことを始める。でも本体はプレピー。このアンバランスさが楽しい。

「そこまでするなら、もう少しいい万年筆を買えば?」と言われるかもしれない。違う。プレピーでやるから面白いのだ。

プレピーと一緒に選ぶなら

Amazonや楽天の商品リンクを記事に置くなら、プレピーはかなり自然に導線を作りやすい。

  • プレピー本体 — 02・03・05で用途が違うので、字幅を明記して紹介したい。
  • プレピー クリスタル — 透明軸が好きな人、インク色を見て楽しみたい人はこちら。
  • プラチナ万年筆のカートリッジインク — 色違いを並べれば、単なる替芯ではなく「次は何色にする?」という商品になる。
  • コンバーター+ボトルインク — もう少し遊びたい人に。

プレピーを一本買う → 違う字幅が欲しくなる → 違う色が欲しくなる → 透明軸が欲しくなる → インクまで欲しくなる、という流れが自然にできてしまう。

プレピー、かなり危険である。

プレピーから少し上へ行く道もある

プレピーが気に入ったら、同じプラチナ万年筆には「プレフォンテ」や「プレジール」といった選択肢もある。

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プレフォンテは、プレピーの基本性能を受け継ぎながら、より落ち着いた外観にしたモデルとして展開されている。

プレジールはアルミボディを採用したモデルで、こちらにもスリップシール機構が搭載されている。

こういう上位モデルへ進むのも楽しい。でも、プレピーを卒業する必要はない。そこが大事だ。

プレジールを買ってもプレピーは使う。もっと高級な万年筆を買ってもプレピーは使う。赤インク用のプレピーは机に残る。手帳用のプレピーも残る。結局、そうなる。

高級感は、もちろんない

ここはきちんと言っておきたい。プレピーに高級感を求めてはいけない。樹脂の軸。印刷されたグラフィック。軽いキャップ。見た目もかなりカジュアル。

数万円する万年筆と並べれば、当然違う。でも私は、それでいいと思っている。

むしろプレピーが妙に高級そうになったら困る。鞄に放り込めなくなる。机に何本も置けなくなる。赤インク専用機にできなくなる。

プレピーは、少しラフなくらいがいい。

コンビニへ行くくらいの気持ちで万年筆を使う

高級万年筆を使う日は、少し気分が上がる。いい紙を使いたくなる。ゆっくり文字を書きたくなる。

プレピーは違う。普通の日に使う。朝。昼。夜。何でもないメモ。どうでもいい数字。忘れそうなこと。それを書く。

私は、この使い方が好きだ。万年筆という道具を特別な日に閉じ込めない。何でもない日に引っ張り出す。

コンビニへ行くくらいの気軽さで万年筆を使う。プレピーには、それができる。

「万年筆を一本買う」ではなく「生活に万年筆を置く」

プレピーを使っていると、万年筆に対する考え方が少し変わる。

高価な一本を選び抜いて買う。それも楽しい。でも、机に一本置く。ペンケースに一本入れる。手帳用に一本決める。赤字用に一本使う。

そうやって万年筆を生活のあちこちに置いていくのも楽しい。プレピーは、そのためのペンだと思う。

2007年の発売から長く売れ続け、世界累計1,500万本まで届いた理由も、この気軽さとは無関係ではないのだろう。

これを「安い万年筆」だけで終わらせるのは、もったいない

プレピーの話をすると、どうしても最後は価格の話になる。確かに安い。そこは大きな魅力だ。

でも、それだけではない。軽い。色で遊べる。字幅を選べる。インクを変えられる。透明軸もある。乾きにくい。何本も使える。ちゃんと書いていて楽しい。

これだけ揃っている。だから私は、プレピーを単に「安い万年筆」とは呼びたくない。

カジュアル万年筆。この呼び方が、一番しっくりくる。

万年筆を使ってみたい人にもいい。すでに何本も持っている人にもいい。高級な一本の隣に置いてあってもいい。雑なメモに使ってもいい。赤インク専用にしてもいい。一本増えても、まあいい。

プレピーは、万年筆をありがたがりすぎず、ちゃんと楽しませてくれる。そこがいい。

今日はどの万年筆を使おうか。そんなことすら考えずに手を伸ばして、気づけばプレピーで書いている。

カジュアル万年筆とは、たぶんそういう一本のことなのだ。