万年筆を買う。普通なら、それで終わりだ。カートリッジを入れて、書く。もちろん、それでも十分楽しい。

でも万年筆を好きになると、そのうち気づいてしまう。ペンより先に、使いたいインクが見つかることがある。

この青を使ってみたい。この茶色で日記を書きたい。この少しくすんだ緑なら、どんな文字になるのだろう。

そうなると、万年筆選びは急に面白くなる。「どのペンを買うか」ではなく、「このインクを、どのペンに入れるか」を考え始める。

そんな万年筆とインクの距離を、最初からぐっと近づけてしまったのが、セーラー万年筆の「プロフィットジュニア+10」だと思っている。

万年筆。コンバーター。そして10mlのボトルインク。基本的には、この3つを組み合わせたセットとして展開されてきたシリーズだ。セーラー万年筆の「minamo」「harappa」「レトロ」などの+10シリーズでも、この構成が採用されている。

この商品(セーラー万年筆 レトロ)をオンラインで探す

この商品(セーラー万年筆 harappa)をオンラインで探す

この商品(セーラー万年筆 minamo)をオンラインで探す

つまり、買ったその日から、ボトルインクで遊べる。そこがいい。

「+10」の10は、10mlのインク

最初に名前の話をしておきたい。プロフィットジュニア+10。この「+10」が妙にいい。

セットには10mlのミニボトルインクが組み合わされ、シリーズによって万年筆とコンバーター、オリジナルカラーの10mlインクをまとめて楽しめる構成になっている。

巨大なインク瓶ではない。10ml。この量が絶妙なのだ。

万年筆を使い始めた頃、ボトルインクを一本買うのは少し勇気がいる。最後まで使い切れるのか。思った色と違ったらどうしよう。そもそもインクを吸入するのが面倒なのではないか。いろいろ考える。

でも10mlなら、ちょっと試してみようという気になる。むしろ、「使い切ったら次の色に行ける」くらいの気軽さがある。

インクを大量に所有するのではなく、いろいろな色と出会うためのサイズ。私は10mlという容量を見るたびに、うまいなと思う。

カートリッジを飛び越えて、いきなりインク瓶へ

初めて万年筆を買う人には、普通はカートリッジを勧める。簡単だからだ。差し込めば使える。手も汚れにくい。それでいい。

でもプロフィットジュニア+10は、最初から少し違う。コンバーターが入っている。インク瓶が入っている。つまり、「さあ、吸ってみましょう」とこちらをボトルインクの世界へ連れていく。

もちろん難しいことではない。ペン先をインクに浸す。コンバーターを操作する。インクが吸い上がってくる。ペン先を軽く拭く。そして書く。

たったそれだけなのだが、自分でインクを入れた万年筆というのは妙に愛着が湧く。カートリッジを挿したときとは少し違う。

自分で道具を完成させたような感じがする。私はこの小さな儀式が好きだ。

ちゃんと「万年筆らしい」形をしている

プロフィットジュニアの好きなところは、カジュアルな万年筆なのに、形はかなり王道なところだ。丸みのあるキャップ。クリップ。少しふくらんだ胴軸。

キャップを閉じれば、「あ、万年筆だ」と思える姿をしている。

セーラー万年筆の「プロフィット」は1981年から続く代表シリーズで、丸みを帯びたクラシックなフォルムを特徴としている。プロフィットJr.もその名前のとおり、その雰囲気を軽やかにしたような一本だ。

この商品(セーラー万年筆 プロフィット)をオンラインで探す

ここが、カクノやプレピーとはまた違う。カクノにはカクノの形がある。プレピーにはプレピーの軽快さがある。

プロフィットジュニアは、「ちゃんと万年筆らしい万年筆を、もっと気軽にした」という感じがする。そこが好きなのだ。

12.2g。見た目よりずっと軽い

現在のプロフィットJr.は、全長134mm、重量12.2g。ステンレスペン先を採用し、カートリッジとコンバーターの両方に対応する。

見た目は万年筆らしい。でも持つと軽い。このギャップがいい。

キャップやクリップがあり、少しクラシックな形をしているので、もっと重そうに見える。でも実際には軽快だ。

長くノートを書いても疲れにくい。手帳にも使える。思いつきを書き留めるときにも使える。

「今日は万年筆でちゃんと書こう」ではなく、「ちょっとこれで書こう」ができる。私は結局、こういう万年筆をよく使う。

中細のMFが、これまたいい

標準的なプロフィットJr.には、ステンレス製の中細(MF)ペン先が採用されている。セーラー自身も、初めての万年筆でも書きやすい太さとして紹介している。

このMFというところが好きだ。細字より少し太い。中字より細い。日本語を書くには、とても扱いやすいところにいる。

ノートにも書ける。手帳にもそこそこ使える。インクの色も楽しめる。ここが大事なのだ。

極細だと、インクによっては色の違いが少し分かりづらくなることがある。一方で中字だと、小さな日本語を書くには少し太く感じることもある。MFはその中間。

文字を書くことと、インクを見ることのバランスがいい。「インクを楽しむ万年筆」として考えると、かなり納得できる字幅だと思う。

セーラーのペン先には、少しだけ手応えがある

万年筆の書き味には好みがある。とにかくツルツル滑るものが好きな人もいる。紙との接触を少し感じたい人もいる。私は後者も好きだ。

プロフィットジュニアのステンレスペン先には、書いている場所が分かるような、ほどよい筆記感がある。

鉛筆を書く感覚、とまで言うと少し違う。でも、「紙の上をペン先が通っています」という手応えがある。

これがインクとよく合う。一文字ずつ書いている感覚がある。日記を書く。手紙を書く。ノートに考え事を書く。そんな少しゆっくりした筆記に向いている。

私はセーラーの万年筆を使うと、「文字を書いているな」という気分になる。それが好きだ。

透明軸にインクが入ると、一気に楽しくなる

プロフィットジュニア+10シリーズで特に好きなのが、透明感のある軸だ。

セーラーの現行「プロフィット Jr. 透明感万年筆」は、キャップから胴軸、グリップ周辺まで透明パーツで作られ、カラーインクを入れて楽しむ用途も公式に提案されている。

この商品(セーラー プロフィット Jr. 透明感万年筆)をオンラインで探す

透明な万年筆にインクを入れる。これだけで楽しい。コンバーターの中に色が入る。その色が軸越しに見える。青なら青。緑なら緑。茶色なら茶色。

ペンそのものの色だけではなく、入れたインクによって万年筆の見た目まで変わる。これが透明軸のいいところだ。

空の状態では完成していない。インクを入れて初めて、その日の一本になる。

コンバーターまで色を合わせる

プロフィットジュニア+10の面白さは、インクだけではない。シリーズによっては、コンバーターまでオリジナルカラーになっている。

たとえば「レトロ」では、大正ロマン、昭和モダン、平成ポップという3つのテーマに合わせた万年筆とインク、限定カラーのコンバーターが組み合わされた。透明軸なので、そのコンバーター自体もデザインの一部として見える。

これは文房具好きには危険だ。普通ならコンバーターは内部部品である。見えなくてもいい。機能すればいい。

ところが透明軸になると、中までコーディネートしたくなる。インクの色。コンバーターの色。軸の柄。全部を見る。書く前から楽しい。

こういう「意味のないところまで気になる」のが、文房具趣味の楽しいところだと思う。

minamo、harappa、レトロ。+10はテーマまで楽しむ

プロフィットジュニア+10は、一本の固定されたカラーだけではなく、さまざまなテーマで展開されてきた。

「minamo」は水面にあらわれる生き物をテーマにしたシリーズ。「harappa」は原っぱにあらわれる生き物。「レトロ」は大正・昭和・平成をモチーフにしたシリーズだった。

これがまた面白い。単に、青。緑。赤。ではない。テーマがあり、そのテーマからインク色が決まり、万年筆の柄が決まり、コンバーターまで決まる。

つまり一本の万年筆というより、小さな世界観が箱に入っている。

私はこういう文房具に弱い。「この色が欲しい」だけならインクだけ買えばいい。でも、「この組み合わせで使いたい」と思わせてくる。それが+10の魅力なのだと思う。

「ゆらめく」は、さらにインク側が主役になった

このシリーズを象徴していると思うのが「プロフィットジュニア+10 ゆらめく」だ。

この商品(セーラー万年筆 ゆらめくインク)をオンラインで探す

これは「ゆらめくインク」の10mlミニボトルと、その色彩を表現した万年筆、コンバーターのセット。通常のMFではなく、筆記角度によって太さを変えられる筆文字ペン先が採用されたモデルも展開されている。

もう完全に、「この万年筆にどのインクを入れよう」ではない。「このインクをどう楽しもう」から万年筆が作られている。

私はこの発想がすごく好きだ。万年筆は主役でありながら、インクを楽しむための道具にもなる。どちらが上でもない。ペンとインクがセットで完成する。

プロフィットジュニア+10という名前には、その思想がかなりよく表れている気がする。

10mlだから、次の色へ行ける

私はボトルインクが好きなのだが、ひとつ問題がある。減らない。本当に減らない。

毎日日記を書く人ならともかく、いくつもインクを使い分けていると一本のボトルがなかなか空にならない。すると棚に瓶が増える。一本。二本。五本。十本。こうしてインク沼が完成する。

だから10mlはいい。気軽に使える。少し大胆に使える。「もったいないから黒ばかり使おう」という気持ちになりにくい。むしろ、早くこの色を使って、次を試したい。となる。

万年筆インクは、このくらいのサイズでいろいろ遊ぶのもかなり楽しい。

ボトルインクに興味があるなら、かなりいい入口

初めての万年筆としてカクノやプレピーを選ぶ。それはすごくいいと思う。

でも、「万年筆より、むしろインクに興味がある」という人なら、私はプロフィットジュニア系を強く候補に入れたい。

セーラー万年筆自身も、透明軸のプロフィットJr.を「はじめての万年筆」「インクで遊びたい方」に向けた一本として紹介している。

これがまさにその通りだと思う。ただ書ければいいのではない。何色を入れるか考える。インク瓶を開ける。吸入する。透明軸越しに眺める。紙に書く。乾いた色を見る。ここまで全部楽しむ。

そんな人には、かなり相性がいい。

インクが変わるだけで、同じペンが別物になる

透明軸のプロフィットジュニアを一本持っていると、色を変えるたびに雰囲気が変わる。

青を入れる。仕事道具っぽくなる。紫を入れる。急に趣味っぽくなる。茶色を入れる。日記を書きたくなる。少しくすんだグリーンを入れる。意味もなく文字を書きたくなる。

同じペンなのに面白い。私はこれこそ、万年筆の魅力の一つだと思っている。

ボールペンは本体を選ぶ楽しさが大きい。万年筆はそこに、中身を選ぶ楽しさが加わる。プロフィットジュニアは、その楽しさが外から見える。

Amazonや楽天で探すなら、セット内容をよく見たい

プロフィットジュニア+10をAmazonや楽天で探すときは、少し注意したい。

「+10」はこれまで複数の限定シリーズとして展開されており、公式製品ページでも「数量限定発売品のため、すでに販売を終了している場合がある」と案内されているモデルがある。

そのため、商品ページを見るときは、万年筆だけなのか。コンバーターが付いているのか。10mlインクが付いているのか。ここを確認したい。

特に過去の限定色は、店舗によって在庫状況がかなり違う可能性がある。「プロフィットジュニア+10」で検索して、気に入ったセットを探す。この探す時間まで、私はちょっと楽しいと思っている。

+10が見つからなければ、プロフィットJr.から始めてもいい

限定セットが見つからなかったとしても、心配はいらない。

現行の通常版「プロフィット Jr. 万年筆」は公式価格2,750円で、ライトグレー、コーラルピンク、シアンブルー、ライラック、アクアグリーン、クロムオレンジの6色が掲載されている。中細MF、ステンレスペン先、コンバーター・カートリッジ両用式だ。

この商品(セーラー プロフィット Jr. 万年筆)をオンラインで探す

さらに透明軸の「プロフィット Jr. 透明感万年筆」もある。

だから、本体を選ぶ。コンバーターを用意する。好きなインクを一本買う。自分で「+10」を作ってしまう。それでもいい。

むしろ、その方がもっと深いところまで来てしまう可能性がある。

プロフィットジュニア+10と一緒に探したいもの

Amazon・楽天の商品導線を作るなら、このシリーズはかなり相性がいい。

  • プロフィットジュニア+10 各シリーズ — minamo、harappa、レトロ、ゆらめくなど、見つかったものから好みの世界観を探す。
  • プロフィット Jr. 万年筆 — セットではなく、好きな色の一本から始めたい人はこちら。
  • プロフィット Jr. 透明感万年筆 — インクの色を見て楽しみたいなら、かなり魅力的だ。
  • セーラー万年筆用コンバーター — ボトルインクを使うなら欲しくなる。
  • セーラー万年筆のボトルインク — ここから先は危険である。

一本選ぶつもりだったのに、青もいい。茶色もいい。緑もいい。となる。そして気づく。万年筆より、インク瓶の数の方が多くなっている。よくある話だ。

高級万年筆ではない。でも、趣味としてはかなり濃い

プロフィットジュニアは、金ペンの高級万年筆ではない。ステンレスペン先。軽い樹脂ボディ。価格も比較的手頃。

でも、「だから初心者向け」だけで終わらせるのは、かなりもったいないと思う。

趣味性が高い。透明軸。カラーインク。コンバーター。限定デザイン。限定色。テーマのあるインク。

つまり、万年筆を趣味として楽しむ要素が、かなり詰まっている。値段が高いから趣味性が高いわけではない。いじれるところが多いから楽しい。プロフィットジュニアは、そのタイプの万年筆だと思う。

「一本の万年筆」ではなく「一色の世界」を買う

サファリなら、私はデザインを見る。カクノなら、書く楽しさを考える。プレピーなら、日常で気楽に使いたくなる。

プロフィットジュニア+10を見ると、何色で書こうかを考える。ここが、この万年筆の面白いところだ。

箱を開ける。万年筆がある。コンバーターがある。小さなインク瓶がある。インクを吸う。文字を書く。その色を見る。

たったこれだけ。でも文房具好きにとっては、この「たったこれだけ」がものすごく楽しい。

万年筆を買ったのか、インクを買ったのか分からなくなる

プロフィットジュニア+10を見ていると、ときどき分からなくなる。私は万年筆が欲しいのか。インクが欲しいのか。セットのデザインが好きなのか。

たぶん全部なのだ。そして、それでいい。

万年筆は文字を書くための道具。それは間違いない。でも文房具が好きになると、道具は用途だけでは選ばなくなる。色。形。触った感じ。インク。組み合わせ。箱まで含めて好きになる。

プロフィットジュニア+10は、「書く」という行為の周りにある楽しさまでまとめてくれる。だから好きだ。

一本目の万年筆にもいい。すでに何本も持っている人にもいい。インクを使ってみたい人には、もっといい。

そして一度10mlの瓶で色遊びを始めると、たぶん次の色が欲しくなる。そこから先は、もう仕方がない。

万年筆の世界というより、インクの世界へようこそ。プロフィットジュニア+10は、その入口に置いてある一本なのだ。